夢

夢。

男と女、たった二つの影が暗い森の中を歩いていた。
明かりは何もなく、互いの顔を確認するのがやっと…

二つの影の一つ。
男の方は、身の丈170cm前後。
少し長めの黒い短髪に、肌は日に焼けた色をしていた。
表すならばそう、[焼きたてのパンの色]だろうか？
健康的な印象の青年だ。

一方女は、160cmは届かぬ程度の身長に、背までの黒い長髪。
もう片方の男と比べると、病的な程の白さを持った肌。
男の肌と同じ様に表すのならば、[白パン]が妥当であろう。
焼きたてのパンの色には目立つ色の白さだった。


そんな二人が歩く暗い森。
二人にも、況してやその他の者にもわかりはしないであろう。
何故二人はこんな場所をただ二人だけで歩いているのか…

木や草が避けて道が出来た森。

二人はこの場所を知らなかった。

だが、互いに聞こうとはしないのだ。



「此処は何処？」



と…


それどころか口を開こうともしない。

ふと、同じ瞬間に互いが互いを見つめた。
すると何の違和感もなく女が微笑んでみせた。
男は女の微笑みに一瞬洸惚とみいった様だが、すぐに前を向いて口先を上げた。
女も男の横顔にみとれている様だ。


森の奥は暗く、先に何が待っているかはわからない。
だが、二人は黙って進んだ。