目が覚めた。
一度は起きたものの、また眠ってしまったらしい。
ふと自分の左側を見ると、夢で見た最愛の女が心配そうに夢で見た自分を見ていた。


「アユミ…?」

「大丈夫?アキラ。体調悪いって…」

「うん…今日は仕事休むよ。」

「そうした方が良いよ。アキラ顔色悪いし…すぐ無理する。」


苦笑で応えるのが精一杯だ。
他の応え方がわからない。
彼女の言う事は正しい。

まだ十代の子供だが、アキラの事を理解しようと、日々努力している。
アキラも、特異な性格のアユミを理解しようと、日々苦悩しているのだ。

二人が互いを理解しようとするにも理由がある。


互いが好き合った仲なのだ。


近々結婚を控えている。
それまでに互いをなるべく知り、理解しようとしているのだ。
そのおかげか、喧嘩は絶えない。
普段は誰がどうみても喧嘩なぞした事もないだろうと見れる程に仲睦まじいが、互いに頑固なのだ。
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