きっとここで君に出会うために
9
外に出て目に入ったのは一台の自転車。
「ちょっと遠いからねー。後ろ乗って?」
そう言って荷台のところをぽんぽんって叩く。
だから厚着か。
納得すると荷台をまたぐ。
重いとか思われるのは嫌だな。
今さらながら夜ご飯少なめにすればよかったなんて後悔した。
「よーし」
そう言うとあたしの両腕をつかんで自分の腰に回した。
「しっかり捕まっててね。20分くらいだから」
そう言うとゆっくり走り出した。