きっとここで君に出会うために



なだらかな上り坂がずっと続いているのが目を閉じていてもわかる。


山でも登っているんだろうか。


「着いたよ」


しばらくするとあいつの声が聞こえて、

ゆっくりと目を開ける。



そこは少し開けたところで、

周りは真っ暗だった。



「いこっか」


そう言ってあたしの手を握ってくれた。


足元さえもよく見えなくて、

手を握ってもらったことで安心した。



こっちこっちなんて言いながら手を引くあいつの顔はよく見えなかったけど、

きっとすっごくニコニコしてるんだろうな。



あいつが立ち止まったからあたしもその隣に並ぶ。



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