太陽はアイスバーをくれた
 

哲太と結衣が出会ったのは一週間ほど前のことだ。
結衣は学校からの帰り道にあまりのじめじめと湿った空気に耐えられず、その川へ寄り道をした。
 

そこに哲太はいたのだ。
 

 
「……」
 

「あれ、嬢ちゃん。いつからそこへ居たんだ?」
 

 
結衣の持った哲太の第一印象はとても呑気な男だ、ということだった。
年は二十六歳らしい。
結衣と九つの差がある。
無精髭が生えていて結衣はもう少し年が上なのではと思って驚いた。
 

 
「アイス食べるか?」
 

「えっ……、ありがとうございます」
 

 
ずずいと差し出されたアイスバーはとても冷えていた。
 

 
「美味しい」
 

「学校暑いだろう、ご苦労様だね」
 

「あの、お兄さんは」
 

「ノンノン、哲太さんって呼んでくれい」
 

「はあ、」
 

 
こういう男だった。
 

 
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