太陽はアイスバーをくれた
「哲太さんはどこに住んでいるの?」
「ああ、そこのマンションだ」
「えっ、あの新しくできたマンション?」
「そうなのよー」
飄々と哲太は言った。
哲太のだらしない風貌からは予想もできないなと結衣は密かに思った。
「毎日ここで釣りをしているんですか?」
「ああうん、そうだな」
「ふうん」
もういい大人なのに、と結衣は少し見損なったような眼で哲太を見た。
「まあね、いろいろあるのよ俺も」
「うん」
哲太は何を考えているのか全く解らない男だった。
初めて会った結衣に哲太の考えていることを解れというのも無理な話ではあるが。
アイスバーを食べ終えて、いつの間にか川の冷たい水につけていた濡れた足をタオルで拭き、結衣は立ち上がった。
「また明日ね、哲太さん」