太陽はアイスバーをくれた
 

それからも結衣は毎日学校の帰りに哲太のいる川へ自転車で向かった。
 

もちろん哲太は必ず釣りをしていて、アイスボックスにアイスバーを入れていた。
時々、ラムネ味からメロンソーダ味やオレンジソーダ味へ変わることもあった。
 

でもやはり哲太はラムネ味が好きらしい。
 

 
「今日も暑いなあ」
 

「うん、通学するだけで汗だくだよ」
 

「そうだよなあ」
 

 
特別に何かの話をするわけではない。
ただ、同じ空間にいるだけ。
それが結衣にとってはとても大切なことのように思えた。
 

 
「……哲太さんって彼女いるの?」
 

「彼女?そうさな、言わば結衣がカノ、」
 

「あらそう、そうなの」
 

「……すいません」
 

 
結衣はふと思い立って聞いただけだ。
それでも今の哲太の言葉に不覚にもどきりとしてしまった。
 

どきりとしたのはどうして?
あたしは別に哲太さんなんて。
 

 
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