切裂き天使
リストカットを始めたのはそのころからだ。
生きる意味が分からなくなり途方に暮れる毎日が急に息苦しくなって
切った。
すると安堵感と小さな痛み。
赤い液体が私の瞳に映り生きていることを実感する。
すべてを瓶に保管してその日一日どのくら私が不安になったのかを知ることができた。
右利きの私は必然的に左腕を切る。でもさすがに切り過ぎると場所がなくなり10月23日の午後、私は右腕を切り始めた。
貧血はよく起こした。母が心配しても知らない顔をした。親不孝者だろう。
家では極力長袖で過ごし、外を出る時は必ず包帯を巻いた。
人から見て私は多分危ない中学生なのだろう。
でも根から考えれば私は人と同じような願望を持っていてそれを切実にかなえようとしていた。だから周りと私との温度差はほとんどないはずだった。
違うのは形だけ。