メルヘン侍
『天ざるうどん』
「今日は、
そばのほうがいいなー」
『どっちでもいいよ』
「そば大盛り」
『そば大盛りで、』
「ヨシッヤィ! 決まった!」
と、勢いよく声を発し
両手にペッペとつばを吐き
大盛り大盛りと、ちょんまげのアホ毛を整え、
腰を落とし、本来あるべき刀の部分に手をかけた。(メルヘン刀)
目をとじ、細く息を吐きだす。
その横顔は一種独特のわびしさと
せつなさと
こころぼそさを帯び、
悲哀に満ちた背中からは、
風呂上がりでもマラソンのあとでもないのに
湯気がホカホカとたち
右足をゆっくりと
じり、じり、と地面へこすりつける。
わらじの音、比呂田さんのツバを飲み込む音。
ピーンと糸が切れる音がした後に、
地面が突如裂け、
その割れ目からヌメヌメとした鱗の緑のドラゴンがにょきにょきと現た。
ドラゴン大きく首を振ったあと、にちゃりと口を開き、炎を吐きだした。
苺町は一瞬にして火の海に
というのは冗談で、
長い
長い
沈黙の後、
いつもよりも
神妙なトーンで、ゆっくりと語りだした。
「今日は、
そばのほうがいいなー」
『どっちでもいいよ』
「そば大盛り」
『そば大盛りで、』
「ヨシッヤィ! 決まった!」
と、勢いよく声を発し
両手にペッペとつばを吐き
大盛り大盛りと、ちょんまげのアホ毛を整え、
腰を落とし、本来あるべき刀の部分に手をかけた。(メルヘン刀)
目をとじ、細く息を吐きだす。
その横顔は一種独特のわびしさと
せつなさと
こころぼそさを帯び、
悲哀に満ちた背中からは、
風呂上がりでもマラソンのあとでもないのに
湯気がホカホカとたち
右足をゆっくりと
じり、じり、と地面へこすりつける。
わらじの音、比呂田さんのツバを飲み込む音。
ピーンと糸が切れる音がした後に、
地面が突如裂け、
その割れ目からヌメヌメとした鱗の緑のドラゴンがにょきにょきと現た。
ドラゴン大きく首を振ったあと、にちゃりと口を開き、炎を吐きだした。
苺町は一瞬にして火の海に
というのは冗談で、
長い
長い
沈黙の後、
いつもよりも
神妙なトーンで、ゆっくりと語りだした。