ストロング・マン
「ほら、付き合わせるお礼。
カフェオレでよかっただろ?」
「うん。ありがとう。
お言葉に甘えていただきます。」
私はコーヒーは甘くないと飲めないお子様舌だ。ブラックコーヒーを飲める人を心底尊敬しているし、憧れている。
かっこいい大人の人って感じがしない?
でも、さすがは修也、私の好みを把握している。
「んで、夜勤明けでもねえのになんでまたそんな酷い顔してんの?」
「うっ、やっぱり酷い?」
修也の指摘に思わず手で顔を覆い隠す。
昨日よく眠れなかったせいで、化粧ノリが最悪なのだ。クマもあるし。
「この間修也に言われたこと、よく考えてみてるのよ。
なんか考えてたらいろいろ起こっちゃって、なんだかすごいことになってきた。」
前にいろいろ言ってしまったし、と思い正直に白状すると、
「ふーん。
今までの郁からは考えられない進歩だよなあ。」
と、すごく驚いた顔をされた。
失礼だなあと思うけど、その通りだから何も反論できないのが悲しいところ。
「その通りだけどさ、もうちょっとオブラートに包んで言ってくれない?
さすがのあたしもなかなかぐさっと、」
「郁さ、やればできんじゃん。」
修也にしてはすごく珍しい、優しい笑顔で微笑まれた。