ストロング・マン
「え・・・っと?」
どうしてそんなに優しい顔をしているんだろう。
なんだか修也が嬉しそうで、こっちが戸惑う。
「そうやってさ、考えてみるのが郁にとって一番いいんじゃないかって、前から思ってた。
もう、軽い気持ちで恋愛すんなよ。
もっと、自分のこと大事にしろよ。」
前からって、高校の時からってことだよね?修也はどうしてここまで私のことを考えてくれるんだろ。
それに、私は自分のモチベーションが上がらない恋愛に相手を巻き込んでいる側で、自分が傷ついている訳ではない。
それなのにどうしてこんなこと言うんだろう。私って傷ついてるの?
「・・・私、傷ついてるのかな。今まで一度もそんな風に考えたことなかった。」
「俺はそんな風に見えてたってだけ。
傷ついてるっていうか、寂しそうだなって。
もっと自分のことさらけだせるやつ、いるだろって思ってた。」
・・・修也がそんな風に思ってくれてたなんて知らなかった。
高校の頃は、何か言いたそうな顔をしてるなとは思ってたけど、どうせ「また適当に選んで」とか「やれやれ」とか馬鹿にしたいんだろくらいにしか考えていなかった。
私は自分のことばっかりで、きちんと周りと向き合えていなかったのかもしれない。
「修也、ありがとう。
今のでもっと頑張ろう、ちゃんと考えないとって思えたよ。
自分で答え見つけるから。その時は、聞いてね。」
「おう。」
修也と休憩して話せたおかげで、自分の中のモヤモヤが吹っ切れた。
今日の仕事、頑張ろう。