ストロング・マン


「お疲れ様。何?急いで来たの?」


「何じゃねえよ。お前のせいであのあと大変だったんだからな。」


そう言って修也は端正な顔をくしゃっと歪めた。その様子からすると、かなり大変だったようだ。
大方、女性がらみだとは思うけど。そう分かっていてあえて聞いてみる。


「そうなの?どうしたの?」


またニヤリと笑って見せたりして。
それを見て修也がため息をつく。いつも言われてばかりだから、ちょっとした仕返しが出来て楽しくなってくる。


「分かってるくせにそういうこと言うんだもんな。

あー、でもお前、やばいかもよ?」


そう言って今度は修也がニヤリと微笑んだ。
…なんだか嫌な予感がするんですけど。


「俺とお前、付き合ってるって思われてる。」


予想以上に話が飛んでいてすぐに言葉が出てこない。女子が修也のことを気にしているのは分かってはいたけれど、そんなことにまでなっているなんて。
恋する乙女の思考はすごいものだ。
とは言っても私が関わりのある人は違うって分かってくれるだろうし、大丈夫か。


「まあ、チーム内とか関わりある人は大丈夫だと思うから平気だよ、きっと。」


そう冷静を装って言ったのに、私の希望をガラガラと打ち砕く言葉を吐いた。


「いや、付き合ってるって話出たの、郁の先輩のせい。」


「はあ~!?」


「俺らが同級生ってこととか仲いいみたいとか話されて。
やっぱり周りからそう言われると一気に火が付くみたいで。」


チーム内の人が広めたとなるとまた話が変わってくる。
余計なことしてくれちゃって・・・週明けが怖い。絶対に面白がられる。くそう。








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