ストロング・マン


意識しだしてからは私がドキドキしているのが修也に伝わらないように必死で普通に見えるように接した。
でも辛いのが帰りの車内で。こんな密室に2人とか、修也相手なのに緊張するんですけど。


「今日、どうだった?」


「あっ、すごく、楽しかったよ!」


うーん、普通って難しい。今の大丈夫だった?なんで普段ならスムーズに言えることが言えないんだろう。
でも修也は私の返答が嬉しかったらしく、楽しそうに笑った。


「そっか、ならよかった。俺もすげえ楽しいなって思ってた。
こんなに楽しかったデート初めてかも。」


そう言って気分良さそうに笑っている修也を見て、またトクンと胸が鳴った。
自分も楽しくて、相手も楽しいのが分かるって、こんなデートあたしもいつぶりだろう。尚のときも、きっと初めはこうだったんだろうな。それを忘れないようにしたいな、なんて思った帰り道だった。








「じゃあ、送ってくれてありがとう。気を付けてね」


「おう。じゃあまたな。」






私は修也の車が見えなくなるまで見送って、それから家路に向かった。
またって言ってたな、次はいつだろう。今度も2人かな?それとも奈美も一緒かもしれない。


でも私はまた2人で遊んでみたいかも。


< 60 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop