ストロング・マン
「もういい?」
修也と初めて2人でデ、デートしてから早2か月。
その間にも2回程デートたるものをしていた。2か月で2回となると、月に1回ペースだ。
初めてのデートから次はいつだろうと、実は内心そわそわしていた私だったが、修也から連絡がきたのはもうすぐ初めてのデートから1か月が経とうとしている時だった。
普通好きな子にアタックするとなれば、そんなに期間ってあけないもんじゃないの?とか、大して私のこと好きじゃないんじゃないかなんて思ったりしていたけれど、それって大いに気になっている証拠なだけであって。
それに、気になるなら自分から連絡すればよかったものの、自分だけが気になっているみたいで嫌で、どうしても出来なかった。
2回目のデートは動物園。パンダで有名なあの動物園だ。
猿の後ろ姿がお前に似ているだのいろいろと暴言を言われたが、まあそれはなんとか許すとして、とりあえずとても楽しかった。
3回目のデートは渓流に涼みに行った。この時期の渓流は最高で、夏なのに肌をするりと抜けていく風が冷たくて、とても気持ちよかった。さらにニジマス釣りなんかも体験して、お互いに数を競ったりした。
・・・結果は私が1匹の修也が4匹で大差をつけられて負けた。その帰り私は負けたことが悔しくて不貞腐れてたけど、それを見て修也はなぜか楽しそうに笑ってた。勝ってるからって上から目線の酷いやつ!
なんていろいろ言っていたけれど、何回か会ううちに気づくことがあった。
今日はそれを聞いて欲しくて、仕事終わりの水曜にも関わらずに奈美を居酒屋に呼び出していた。
「お疲れ様。今日は付き合ってもらっちゃってごめんね。」
「お疲れ。いいのいいの。ちょうど今日は急ぎの仕事もなかったし、今週あと半分乗り切るためにもチャージ必要だし。」
そう言ってヒヒと笑う奈美はかなりの酒豪だ。もうすでに乾杯して傾けたグラスは半分以下になっている。
私も飲める方ではあるが、奈美ほど強くはないし、ペースも早くない。