ストロング・マン


奈美はグラスに入ったビールをまたもや半分ほどまでにぐいっと飲むと、静かに口を開いた。


「私結婚するってなってから思ったんだけどね。恋愛って1人でするものじゃないと思うのよ。
1人だけが頑張ったって崩壊するだけだし、どれだけ好きでも無意味。

でもね、2人が同じ方向を向いて頑張れたら、違うと思うの。それに、上手くいくかいかないかなんて誰にも分からないじゃない?私たちだってもしかしたら離婚したりするかもしれないしさ。

修也は郁が1人で抱え込んだりするようなこと望んでいないと思うし、もしダメになったとしても郁のせいにするような奴じゃない。大事なのは"今"でしょ?」


そう言って今流行りの先生の真似をしてこちらに微笑む奈美。
奈美の言葉はすっと私の中に入ってきて、今までのとっかかりが取れたような気がした。


やっぱり奈美は最高の親友だ。


「奈美、ありがとう。その通りだと思う。
今度ぶつかってくるね。」


「うん。応援してるから。落ち着いたら報告だけはよろしくね?」



その日は水曜日だっていうのに23時くらいまで飲みまくってしまい、次の日顔がパンパンにむくんでいたことは言うまでもない。



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