ストロング・マン


奈美と飲んだ週の土曜日、私は修也を呼び出していた。
私は、というか女子はみんなそうかな?一度こうと思ったらすぐやりたくなってしまうタイプで、例えば髪切りたい!と思えばすぐにネットで予約いれてみたりね。そんなこんなですぐに修也に言ってしまいたくて、奈美と会った日に修也に連絡を私から初めて入れて、今日会うことになった。

今日はデートをがっつりする気分でもなかったから、私たちの地元をブラブラしようということになった。


私から呼んだこともあって、修也にはもうすでに何か感づかれているような気がして、勝手にそわそわしてしまう。おかげで待ち合わせの15分前には到着していた。普段は時間ピッタリか早くても5分前くらいなのに。


悶々とした気持ちで駅のベンチに腰掛けていると、ふいに視界が暗くなり、足元には男物のスニーカーが。
顔を上げると修也が私を見下ろしていて。


「よ。待ったか?」


「う、ううん。大丈夫。とりあえずどっかご飯でも行こうか。」


なんかすごくベタなやり取りな気がしてこれだけでもすごく恥ずかしいんだけど、必死に冷静を装って先に歩き出す。そんな私にすぐさま追いつき、横を並んで歩く修也。ちらりと横を見上げれば相変わらずのポーカーフェイスがあった。


今日、ちゃんと言えるかな?でも女に二言はない、はず。



私たちは駅近くにある洋食屋さんに入った。


< 65 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop