ストロング・マン


「せっかくだから地元巡りしない?」


修也がそう提案してきたのにのっかり、今は私の中学校に来ているところ。
今は1人暮らししているため、近いとは言えど地元に帰ってくるのは久々だった。近すぎると逆にそうなるのかもしれない。
久しぶりに見た中学校はなんだか古くなったように見えて、それでいて自分の中の記憶はいつまで経っても新鮮なままだった。


「懐かしいなあ、このグラウンド。よく部活で走ってた。」


その頃を思い出すと、とても優しい気持ちになれた。確実に時間は過ぎているんだと実感する。


「次は修也の中学に行く?」


「んー俺んとこだとここから少しかかるから、高校にしない?」


修也の学区は高校の反対側にあり、ちょうど私の中学校と対極の位置にあった。高校が真ん中にあるような感じだ。今日は車でなく歩きだったため、夏で暑いこともあり、まずは高校までにしようということになった。








「うわ、部活してる。懐かしいなー。」


高校のサッカー場に来るなり声を上げた修也。ユニホームは変わっておらず、当時の修也の姿が練習している高校生の姿に重なった。あの頃は修也が部活をしているのを一目見ようと、女子が大勢フェンスに張り付いてたっけ。


「たかが部活の練習だってのに、修也の応援だけは毎日いたよね。」


ニヤリと笑うと途端に顔をしかめる修也。当時余程嫌だったらしい。


「まじであれは勘弁してほしかった。」





高校の中にはさすがに入れなかったからぐるっと一周回って、駅に向かおうということになった。
その途中にある公園を見て、修也が声を上げた。


「郁、ここ覚えてる?」



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