ストロング・マン


修也が公園を親指で指さして、私を中に誘導した。
ここ覚えてるかと聞かれたため、記憶の中を探ってみるが、


「ごめん、全然覚えてない。なんだっけ?」


頬をぽりぽりとかきながら修也を見上げると、


「だと、思った。」


修也がふっと笑ってベンチに腰をかけた。私だけ立っているのもなんなので、修也の隣に腰をかける。


「ここはさ、俺と郁と奈美が初めて話したところ。
俺が部活帰りにここで待ち伏せされて告白されてた時、」


「あー!思い出した!」


修也の言葉でそう言えばそんなことがあったと思いだした。あの頃はもうすでに奈美と仲が良くて、方向が同じということもあってお互い部活帰りに一緒に帰っていたのだ。その帰り道にこの公園を通った時に告白が聞こえてきて、性格の悪い私たち2人は覗き見をすることにして、覗いていたら修也に見つかって。


「お前らまじで趣味悪すぎだったよな。なんだこいつらって思ったわ。」


「あはは、あの時はすみません。だってモテモテの高橋くんの告白現場だってなって、思わずね。」


わざと仲良くなる前の呼び方をして、笑って誤魔化そうとする私を横目で見て、はあとため息をつく修也。


「まあどうせ断るだけだったからいいけど。んでもそこからお前たちと仲良くなるとは、あの時思っていなかったな。」


「それはあたしも。あの時の修也は今よりも短髪で肌も焼けてて黒かったし、あんまり笑ったりしないしで、怖かったなあ。」


「ほー。言ってくれるな。お前は騒がしくて、そのくせマイペースで。今より髪も短かった。」


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