バレンタインデーの憂鬱
「あー、肩こった」
ドサリ、と大量のチョコレートをテーブルに置いた。
『お疲れー。にしてもスッゴイね!彰、モテモテだあっ』
チョコレートを見てはしゃいでいると、ジーッと見つめられていることに気づいた。
『ん?どした?』
「…別に。これだけ貰ったって、好きなヤツから貰えなかったら意味ないし」
“後悔したくない恋、してる”
確かそう言ってたよね。
『…そっか』
…なんでちょっとショック受けてるんだろ。あげようとしてたからかな?
だって言いかえれば、“好きな人のしかいらない”になるよね?
「で?お前はくれないの?」
『え?貰ってくれるの?』
「お前の、うまいってわかってるから」
わーいっ!誉められたあ〜♪
「…ここまで言わせといてまだ気づかない?」
『何に?……あ!』
あたしはパタパタとカバンを置いていた方に駆け寄った。
カバンの中に入れていた、優花に言われて急遽焼いたガトーショコラを取り出した。
チビッコと同じだと、よくない?らしいし。
『はいっ!今食べたかったんだよね?』
言ってくれたらすぐ渡したのに。気づいてほしかったなんて、甘えん坊〜
「…もういい」
ムスッとした顔のまま、それを受け取った。
なんでよ〜?