バレンタインデーの憂鬱
「ホント、信じらんない!」
『ごめんってばぁ…』
「じゃあ買い物付き合って!」
“じゃあ”の意味がわかんない。なんの関係性もないじゃんか。
……って言いたいけど、これ以上優花の機嫌を損ねると、後々面倒なので黙っておく。
『わかったよ…どこに?』
「バレンタインの材料買いに!」
『やっぱ神田くんにあげるんだ?告白は?』
「する!」
優花がここまで燃えてるの、久しぶりに見たかも。
うまくいくといいな…
「紗也も誰かにあげればいいじゃん!とりあえず彼女のいない男子に配っときなよ!」
そんな媚を売るような真似しませんっ!!
『あたしは…そーだ、近所の子達にでもあげるよ』
あたしの家は一軒家が建ち並ぶ住宅街にあって、隣接する家々とは交流が深かった。
バーベキュー大会とか、よくするんだよね。
「チビッコたちー?確かに恋に年齢は関係ないと思うけどー…」
『誰が本命っつったよ?』
「紗也こわーいっ」
ぶりっこみたく泣き真似する優花を若干ウザいと思いつつ。
『いいじゃん、今年くらい。来年は素敵な彼氏見つけるよっ!』
そう言って、切り抜けた。