バレンタインデーの憂鬱
『えっ?えー?』
「…んだよ」
『や、あの…状況の展開が早すぎて…ついていけない、です』
真上にある彰の顔を直視出来ずに目を泳がす。
「状況?お前が煽るから押し倒した。それだけ」
そうハッキリ言われたって……
『なんで押し倒すのっ』
「我慢できないから」
………何を?
あたしがキョトンと見つめていると、
「っはあ〜…」
大きなため息をつかれた。
「お前、俺が男だってこと、忘れてんだろ」
『は?忘れるワケないじゃん!』
彼はあたしをバカにしてるの?男じゃなけりゃなんなのよ!………ま、まさかそっち系の趣味が………って、んなワケないか。
一人、自問自答をしていると、呆れた声が降ってきた。
「じゃあなんでそんなに無防備なわけ?自分のおかれてる状況、ホントにわかってる?」
状況…?
・彰の部屋にいます
・ベッドの上にいます
・彰に押し倒されてます
・非常に顔が近いです
『わかってるもんっ』
「何それ。じゃあ襲ってもいいの?」
『襲っ…!?』
そう言われて、やっと“自分のおかれてる状況”ってのが、ホントにわかった。