バレンタインデーの憂鬱



『あんた何言って……年上、からかっちゃダメだよっ』

「からかってねぇし」



そう言う彰の顔は、今までに見たことないくらい真剣だった。



『ちょ、ちょっと待って…』

「俺は十分待った。

だいたいお前が悪いんだよ。人の気も知らないで彼氏つくって。散々ノロケて、別れたら愚痴りにきて。

ムカつくから俺も彼女つくった。なのにお前、おめでとうとか言いやがって。

好きでもねぇ女抱いたって嬉しくもなんともないんだよ。

なんでわかんねぇの?」



こ、こんなに喋る彰、初めて見た……


そっちに驚きすぎて、何がなんだかわからなかった。



『え?えっと…えぇ?』



あ、あの…そんな切ない瞳で見ないでください…胸が締め付けられます…



『で、でも…可愛い弟に彼女が出来たら、喜んであげたいじゃない?』

「俺、いつまで弟?弟じゃ嫌なんだけど」



な…んで……?



『でもあんた…さっき好きな人いるって……』

「どんだけ鈍感なんだよ。焦らしてんの?お前、意外とS?」

『な!?』

「ちょっとくらい……自分のことかもって、考えねぇの?」

『…え?』



自分の…こと……?



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