バレンタインデーの憂鬱
『い、いいじゃん!忘れよっ!』
「嫌。っつかお前も受け入れる気満々だったくせに」
『そ!…れは……言うな!!』
ニヤリと笑った彰に、余計赤面した顔を見せたくなくて。あたしは布団を頭からかぶった。
「紗也?」
もう知らないっ!
無視を決め込もうと、あたしは返事をしなかった。
「無視すんの?じゃあさっきのアレ、なんだったんだよ」
彰の声が1トーン落ちたことにドキリとしながらも、あたしは無視を続ける。
「一時の気の迷いってヤツ?」
はあっ、とため息をつく彰。
「…もういい」
え……?
カタン、と立ち上がる音がした。