バレンタインデーの憂鬱



え、ちょっと……


なっ、なんなのよっ!あんた(が、もらったチョコ)のせいで食中毒になったのに、帰っちゃうわけ!?


………なんか、ヤダ。


彰にここにいてほしい……かも。


っていうか、さっきの話だと彰の好きな人って……


ちょっとした自惚れが、あたしの顔を火照らせた。



「じゃあな」



あ、帰っちゃう!確かめなきゃ…


あたしは慌ててベッドから飛び起きた。



『彰、待っ…!?』



立ち去ろうとしてたはずの彰が何故か目の前にいて。それに驚いている間に、唇が重なっていた。


しばらくして、唇が離れたあと。



「騙されてやんの」

『っ……』



ニヤリと笑って、そう言った。


キスして一言めがそれ!?



『あんたねぇっ!』

「好きなんだよ」

『え…?』



ドサリ、ともう一度椅子に座り直した彰。



「ずっと前から」

『彰…』

「お前、鈍感すぎ。俺もう疲れた」



はあっ、と本日最大のため息をついた。



『あの、えっと…なんか、ごめん』



よくわかんないけど、とりあえず謝ってみる。



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