バレンタインデーの憂鬱
そんなあたしを、ジーッと見つめて、
「嫌」
そう一言呟いた。
い、嫌って言われても…
「許さないから、俺。今までどれだけ我慢してきたと思ってんだよ。お前、無防備だし。誘惑まがいのことしてくるし」
『えーっと…』
それは、だって。ねぇ?
『まさか、あたしだとは思わなかったし…』
「もうちょっと自覚持てや。お前可愛いんだから」
“可愛い”
その一言で、ビックリするくらい顔が赤くなった。
効果音をつけるなら、ぼんっ!みたいな。
「何赤くなってんの」
『っ!…あんたがらしくないこと言うからだよっ』
「俺、彼女には優しいから」
『か、彼女…?』
「なってくれねぇの?俺の彼女」
彰の彼女……
昨日までただの弟的存在な幼なじみ。
今日から、彼女……?
そっ、想像できない…
「…キョドりすぎ」
慌てているあたしを見てクスクス笑っている彰。
人が慌ててるとこを見て笑うのが好きなの?あんたこそSじゃない!!