バレンタインデーの憂鬱



何故かソファーに座ったまま、晩ごはんを作ってるあたしをジトーッと見つめてくる彰。



「手伝ってやったのに、その扱いはひどくね?」

『はいはい。ありがとね』

「気持ちがこもってない」

『彰くぅ〜んっ♪あ・り・が・とっ☆』

「………。」

『……せめて笑って?』



あぁ、泣きそう。その冷めた瞳、結構刺さるよ?



『……でも、ホントありがとね?優花、やっと前の彼氏のこと忘れられたみたいだから』

「未練?」

『うーん…後悔?
彼氏、他校生だったんだけど。浮気されちゃって。優花が連絡をぜーんぶ拒否って、フラれたんだって。
あー言えばよかった、こー言えばよかった、って別れた当初はすっごいうるさかった』



優花が悪くて終わった恋じゃないから、ずっと愚痴に付き合っててあげたけど…あれはキツかったよ……



「後悔、か」

『後悔するような恋でもしたの?』



結構、ノリで聞いたんだけど…



「後悔したくない恋、してる」



あたしを真っ直ぐ見つめて、そう言った。






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