真夏の果実
「あたし無理に笑ってなんかないしっ!!」
精一杯強がってみるけど、強がれば強がる程悲しくなる。
『お前、見てると昔の俺みたいんだよ。弱いとこ隠すためにそうやって無理に笑ってんだろ?』
「なんで……分かるの?」
『寂しそうな顔してるから。笑ってるつもりかもしれないけど、今にも泣きそうだぞ?』
「え?」
『別に無理に笑わなくても良くね?そんなの自分を余計苦しくさせるだけだし。』
「………。」
『まあ俺の前では無理に笑うな。週に一回の一緒のバイトの時くらい素のお前でいればいいから。』
「あんた何なの?」
『俺は柊。毎週日曜ここでバイトしてるから。お前を一ヶ月後には本当の笑顔にしてやるよ。』
「何いきなり?」
『じゃあな。』
そう言って柊は帰って行った。
何いきなり?
それに、あんな短時間であたしのこと見抜くなんて……。