真夏の果実
『双葉……。』
柊の涙は止まらない。
「今日の柊は泣き虫だね。」
『ちょっ…恥ずかしいし…。』
「でも、泣き虫な柊も悪くないかも。」
『何で?』
「可愛いから。」
『それ嬉しくねぇ…。』
「そう?
あのね今言いたくなったんだけどあたし柊のこと好きだよ。」
『……え?』
「何その反応!」
『いや、だって…双葉にとって俺って恋愛対象じゃないと思ってたし…。』
「最初は違ったんだけどね、あたしがあたしらしくいられるのは柊の前だって気付いたし、さっきの柊の姿見て側にいたいって思ったの。」
『俺も双葉が好きだ。告白はまだしないつもりだったけどな。』
「なんで?」
『前に元カレのことで泣いてたから、まだ元カレのこと好きなんだろうなって思ってたし。』
「泰之のことはもうなんとも思ってないよ。あたしが好きなのは柊だけ。」
『じゃ、双葉はもう俺のもの?』
「そうだよ?」
『すっげえ嬉しい!』
「そんなに?」
『叶わない恋かと思ってたし、今嬉し過ぎる!』
「あたしも嬉しい!」