0時43分
一瞬、何の事かわかんなかった。何を誰に渡さない…?虎太郎が喚くのはなぜ…?
「…それでええねん」
そう言って口端を少し上げ、虎太郎は満足気に椅子に身を沈めた。
「………いい加減にしてくんない…?」
口を開いたのは、誰でもない、そうこのあたし。しかもあたしはソファーから立ち上がってて、拳をギュッと握り、仁王立ちしていた。
「何の話かわかんない!!あたし関係ないでしょ!?もうこんなのウンザリなんだけど!?自分たちの都合だけで将人を連れて来たりしないでよ!!龍平、あたし言ったよね?皆と同じように将人も大事って。それに龍平は大丈夫って言ったよね?なのにこれは何!?もういい。あたし出てく」
肩で呼吸してるのに、なぜかあたしはリビングを足早に立ち去り、玄関から飛び出す事ができた。