0時43分
――気付いたら窓から真っ赤な夕日がリビングに降り注いでた。タカオたちも帰り、あたしだけがソファーの上で三角座りしていた。
タカオの話聞いた時、あたしは何も思わなかった。族の頭がいるからって何?何が怖い?何が危ない?…もう十分やられてきた。今更何されたって何も感じない。
「何も感じないから」
言いながら自嘲気味に笑った。
何も感じないからね?何も思わないからね?慣れてるからね?
「何が感じねぇって?」
突然の声に後ろを向くと、腕を組んだままドアの縁にもたれる龍平がいた。
「何もかもだよ」
そう言って、もうすぐ帰ってくる雅と虎太郎の為に晩ご飯の用意をしようと立ち上がり、龍平の前を通り過ぎようとした。
「何がだ?」
龍平、意地悪だよ。今はその話あんまりしたくないの。
「手離して?ご飯の用意しなきゃ…」