キス
 

「晶悟、あんたはあたしの彼氏なんじゃないの?カナ、あんたは晶悟があたしの男だって知ってるじゃない」
 

「……」
 

 
二人は黙ったままだった。
 

どうして、晶悟。
あたしはあんたの何なの。
浮気をするなら、あたしを恋人という言葉で縛らなければいい。
あたしが怒らないからとはあんまりだ。
 

黙ったままの二人に、千弥子もとうとう愛想が尽きた。
 

 
「もういい。あたしに話しかけてこないで。晶悟は」
 

 
じろりと千弥子は晶悟を睨んだ。
 

 
「もう知らない。別れる」
 

「千弥子!!」
 

 
別れるという言葉に反応した晶悟が、千弥子を引き止めた。
しかし、そんな晶悟に痺れを切らした千弥子は冷たく言い放った。
 

 
「カナと付き合えばいいじゃない」
 

 
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