キス
そもそも、何故千弥子は晶悟と付き合う事になったのか。
千弥子自身が頭を抱える疑問だった。
「待てよ千弥子、俺千弥子が居ないと」
そんなこと、思ってもいないくせに。
千弥子はうつろな頭でそう思った。
「何度目?あたしは何度あんたを許せばいいの」
「でもっ、千弥子がいい……、千弥子が居ないと俺みたいなどうしようもない奴は」
自分の事をよく解っているじゃない。
千弥子は思った。
「……もうしないで」
「!、千弥子……」
「どうしてカナなの……」
遂に泣きそうになったところを、必死で千弥子は我慢した。
やはり晶悟を手放す事はできない。
晶悟の前で泣く事もできない。
千弥子はこの頃よりボロボロだった。