キス
 

「ねえチャコ、チャコの友達の夏美ちゃんがメールしようって言うんだけどいい?」
 

「……は?」
 

 
ある日、晶悟はまた千弥子にとんでもない事を言い出した。
有り得ない。
この男は懲りていない。
 

千弥子はふと思い出した。
あの時、カナの時もそうだ。
カナとの浮気を知った日の何日か前に晶悟が言い出したのだ。
 

 
「カナちゃんとメールしてもいい?」
 

 
あの時、晶悟はカナとメールをしていた。
またなのかと千弥子は思った。
 

 
「チャコ聞いてる?」
 

「いちいち聞かなくてもメールするつもりなんでしょう」
 

「千弥子冷たい」
 

「うるさい」
 

 
そうだ。
また浮気をするのだ晶悟は。
 

 
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