キス
 

「まだ晶悟君と付き合ってるんだよね」
 

「うん、まあね」
 

「そうだよね、千弥子は晶悟君が居ないと駄目だもんね」
 

「あたしが?晶悟がじゃなくて?」
 

 
千弥子はカナの言葉を不思議に思った。
晶悟はあたしのような女でないと見捨てられたら終わりだろう。
千弥子は思った。
 

 
「それもあるけど……、千弥子は晶悟君でないと駄目なんだよ、きっと」
 

「……」
 

「ごめんね、余計な事だよね」
 

「え、カナ」
 

「それじゃあ、教室戻るね」
 

 
下を向いて話していたカナは、顔をあげて千弥子を見るとトイレから出た。
 

あたしが、晶悟でないと駄目?
まさか。有り得ない。
 

 
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