春夏秋冬
一人だった
家への帰り道

空は藍色

『決まりきってる人生がわかるのかよ』

分かるわけがない

ショウタの過去を
他にも聞いたけど
なんでオタクになったか
それだけは少し理解できた

一人だったんだ、ずっと

空と雲の境が滲んで流れる
病気になってからの私は
病気ということで甘える事はできた
病気になる前だって
決まりきった人生なんて
誰も私に強要しなかった

ショウタは泣かなかった
でも心で叫んでた


気がつくと
虫の鳴き声が
聞こえ始めていた
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