加納欄の研修旅行 シリーズ7
「雪降ってないですよ?」

「今はね」


え~。


「でもでもでも遊べるんですよね?滑って来ていいんですよね?」

「気ぃつけて行ってこい」

ストックと板を担ぎ高遠先輩と合流した。

「上級者行くか」

「いいですよ」

「ホントに大丈夫か?」

「まだ疑ってたんですか?」

「イメージじゃないんだよ。祥子はやるけどな」

「祥子先輩?」

あたしは、祥子先輩が、颯爽と滑る姿を想像した。


ステキ(#^.^#)


「行くか」

「あ、なんかこの後、天気悪くなるって……」

「大丈夫だって。雪は降ってない。いい天気じゃねぇか」

「そうですねぇ」


そうだよね。


大丈夫大丈夫。


高遠先輩が、こう言ってるんだから。


そしてあたし達は滑り始めた。

3本ほど滑っていたら、突然天気が変わった。

吹雪いてきたのだ。

雪だと思った瞬間に、吹雪になった。

視界が悪く、高遠先輩を探すのも大変だった。

「高遠ぉ先輩ぁい?どこですかぁ?」

激しい風が、ビョ~とかゴォ~とか、唸りをたてている。


”呪ってやるぅ~”


風と一緒にこんな声が聞こえてきた。

「え?」


”呪ってやるぅ”


また、聞こえた。


まさか……大山先輩の呪い?


「ここにいる!欄!動くなよ!」


か、風が凄くて、動けないです(>_<)


高遠先輩が、あたしを見つけだしてくれた。

風がひどく唸りをあげるたびに、あたしの耳には。


”呪う”


の、言葉に聞こえた。

「歩いて戻るしかねぇな」

高遠先輩は、ストックを杖がわりに歩きだした。

「高遠先輩、大山先輩の呪いの声が、聞こえるんですけど」

「あぁ?!」

風に消されて聞こえていないようだった。

「行くぞ!」

どこに向かって歩いているかもわからない状態だった。

とにかく、下っている。と、思いながら歩いているだけだった。

「参ったな」

高遠先輩が、足を止めた。

「どうしたんですか?」

あたしの声が風に飛ばされる。


< 14 / 22 >

この作品をシェア

pagetop