加納欄の研修旅行 シリーズ7
高遠先輩と、あたしは、次の日、何事もなかったかのように、署に出勤した。

「おかえり~、お土産は?」

早速、祥子先輩が来た。

「おはようございます。お土産ありますよぉ」

あたし達は、駅のホームで慌てて買ったお土産を、祥子先輩に渡した。

「サンキュー」

そう言って、祥子先輩はいなくなった。

「ちょっと窶れたんじゃないか?」

大山先輩が、珍しく早く出勤してきた。

久しぶりに見る大山先輩は、やっぱりカッコヨク見えた。

「おはようございます」

「初めての研修は、どおだった?」

「はい。ほとんど高遠先輩が、指導してくれたので、私は高遠先輩を見て勉強してました」

「で?」

「え?あ、充実した研修で」

「研修の話しじゃねぇよ」

大山先輩が、あたしの言葉を遮った。

「あの、何の話しを……」

「べ、別に気にしてなんか、いなかったんだぞ」


え?


気にする事って……?


まさか、スキーの遭難、知られてる?


まさか(>_<)


「き、気にする、って?」

「気にしてなんか、ねぇよ。た、ただ、宴会とか?カラオケとか?べ、別に気にしてなんか、ねぇからな」


宴会(-.-)?


カラオケ(-.-)?


スキーじゃなかった。


「え、宴会は今年は…………そ、そりゃもぉ、凄かったですよ。よりどりみどりの、贅沢な宴会で!カ、カラオケだって、凄い盛り上がって!」

嘘つく必要なんてないのに、なぜか、悔しくて、適当に話した。

「スキーも、させてもらったんですよ」

これは、ホント。

「スキーしたのか?」

「はい、最高でした」

「高遠!加納君!こっちに来い」

大山先輩と、話していたら、課長が、入ってきた。


あ、レポート提出しなきゃ。


高遠先輩と、あたしは、レポートを持って課長のところへ行った。


「高遠翔平、加納欄。研修を無事終えました。レポートを提出致します」

出来たら、課長と長く話したくなかった。

課長の顔が、どう見ても怒ってる。


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