加納欄の研修旅行 シリーズ7

「女性刑事には、今回はその勉強をしてもらおうと思ってます。どう考えても、男性の方が力があります。でも、ちゃんと相手を見て、冷静に対処すれば倒せますよ。と、言うことで、やってみましょうか。永森刑事犯人役お願いしますね」

有無を言わせなかった。

「私が、犯人ですか？」

「そうです。ちょうど、永森刑事と、私の体格が違いますからね。ロールプレイングしましょう。永森刑事は、凶悪犯です。人を殺したくてしょうがない犯人です。私は、犯人とたまたま道で出会った為に襲われる役です。永森刑事、どこからどんなふうに襲ってきても構いません。私と、すれ違った後でも、前からでもなんでもいいです。ただ、本気で襲って来て下さい」

そして、あたしは、廊下側のドアに歩いた。

永森刑事は、反対に窓側に歩いた。

「いいですかぁ～、本気で襲って下さいよぉ」

あたしは、位置に着いた永森刑事に、もう一度言った。

「あんな小娘相手に本気出せるかよ」

永森刑事の顔がそう言っているのが、わかった。

「あ、ナイフを持ってる予定なので、ボールペンをナイフの変わりにして下さい。じゃあ、始めま～す」

高遠先輩を、チラッと見たが、１番後ろに椅子を持ってきて、足を組んで寝ていた。

永森刑事が、やる気の無さそうな顔で歩き始めた。

あたしも、歩いた。

あたしは、一般女性を装ってるので、ハンドバッグを持っていた。

だいぶ近づいて来た時に、あたしは。

「本気出さないで、あなたの嫌いな女刑事に、投げ飛ばされたら、あなたのプライドに、傷がつくんじゃないんですか？」

他の人には聞こえないように、言った。

その声を聞いて、永森刑事が本気になった。

すれ違った瞬間に襲ってきたのだ。

「うりゃ～！！死ねぇ！！！」

あたしは、ハンドバッグで、ナイフを払い、相手が怯んだところに、間合いがちょうどよかった為、みぞおち目掛けて思いっきりキックした。

犯人役の永森刑事が、２、３メートル後方へ飛んだ。

研修に来ていた女性刑事達が一斉に歓喜をあげた。

男性刑事達も、どよめいていた。

あたしは、永森刑事のところに駆け寄り、背中から渇をいれた。

正気に戻った永森刑事が言った。