加納欄の研修旅行 シリーズ7
そこは、本当に広い部屋で、宴会をやるにはふさわしい広さだった。

その部屋の真ん中に、お膳がポツンと向かい合いに2人分用意されていた。

部屋へ入った瞬間に、動きが止まった。

「え?」

「どうした?」

「え、あ、まだ、準備出来てないみたいで……。早すぎましたかね、来るの」

「2人だけだったりな」

高遠先輩は、笑いながら言った。

「冗談やめて下さい。ちゃんとこれから、ずらっと並ぶんですから」

座る場所もなく、ただ立っていたら、空中さんが、入って来た。

「いやぁ、どうもすみません。あれ?夕飯食べないんですか?どうぞ、遠慮なさらずに、座って召し上がって下さい」

と、言った。

「え?まだ、皆さんの分が、来てないから待ちますよ」

あたしが、言った。

「皆?いいえ、夕飯は、あなた方だけですよ」

「え?」

2人とも、顔色が変わった。

「2人……ですか?」

「ええ、どうかしました?」

「あの、宴会は?」

あたしは、聞いた。

「宴会、いえ、親睦会みたいなものは、ないんです、か?」

空中さんが、困った顔をした。

「予定していたのですが、お宅の課長さんからお電話で、宴会などは無用だと、強く言われましたので」


え、課長?


「うちの課長ですか?」

「はい。電話がかかってきましたよ」


頭に衝撃が起きた。


な、なんていらんことを!


ま、まさか(-.-;)


あの時の電話が……。


高遠先輩が、すかさず空中さんに歩み寄って、何か小声で話していた。

数秒後には、暗ぁい顔して戻って来た。

空中さんが、小声で、すみません。と、謝っていた。

「では、ゆっくり夕飯召し上がって、疲れをとって下さい」

と、言って出て行った。

この広い部屋に、ポツンと残された。

どう見ても、この部屋は、宴会をやってくれと言わんばかりの広さだった。

「先輩のウソツキ」

「…………」

「宴会、ナイじゃないですか」


楽しみにしてたのに(:_;)


「恨むなら、課長を恨めよ」


課長のバカァァァァ(:_;)


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