カケヒキ
唯はその日から学校へ来なくなった。
最初は風邪かなぁと思っていけど一ヶ月も休めば「不登校」だって分かった。

「郡さんさー絶対不登校だよね♪」

あの日から皆は唯のことを「唯」と呼ばなくなった。
代わりに苗字の「郡」にさん付けをして呼んだ。

私も含めて。


「郡さんズル休みとかズルくなーい?」
「私も学校休みたいなー!」
「ってか今度皆で郡さんの家にお見舞い行こうかー?」
「やだぁ、キャハハ!!」

いつの間にか郡さんと呼ぶ人が増えていった。
いや、これじゃもうクラスのほとんどが郡さんと呼んでいるんじゃないか。男子も女子も。

イジメはすぐに広まっていくんだな。
こういう物で得た偽りの絆がすぐに壊れないのは何故なのだろうか。
何故団結力が強くなっていくのか。

これはプラスなのか
マイナスなのか


やはり理解できなかった。
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