俺サマ後輩×天然先輩




「は?何が心配させんな、だよ!俺の女とってんじゃねぇよ…!」
拓巳が立ち上がりながら悠斗を睨む。

こんな拓巳初めて見た…

「理央は俺のですから。先輩手出さないでくださいね?」
悠斗は余裕の表情で拓巳を挑発する。



「行くぞ」
悠斗に腕を掴まれ入り口に引っ張られる…



「…まって」
あたしは悠斗の腕を優しく引っ張った。


悠斗は不思議そうな顔をしたけれど


これで終わっちゃいけないと思った。


ちゃんと言わなきゃ…。



あたしは真っ直ぐ突っ立ている拓巳を見つめた。
「…拓巳ごめんなさい。あたし…悠斗が好きなの。だから…別れてほしい。…今までありがとう」



やっと言えたらまた涙が溢れた…。



…ごめんね、拓巳。
最低な女だね…?


「…わかったよ」
拓巳は俯いたまま呟いた。


「…ばいばい」
涙をふきながら拓巳にさよならを言った。



そして拓巳は

一瞬だけどあたしに笑顔をむけた…。



その笑顔に「幸せになれよ」と言われた気がした。









< 53 / 107 >

この作品をシェア

pagetop