枯れた心に愛を
「羅葡は余計な心配しなくて良いの。俺は毎日会いたいって思ってるから。羅葡も我が儘貯めないで言って?ねっ?」
「うん」
光希の“ねっ?”は有無を言わさない。必ず従ってしまう。
これが惚れた弱み?
家に着き、まだ夕食を摂ってない両親とじいちゃんとまさおと光希の6人で食べた。
「ガキンチョ、悪かったの?」
「いいえ、知らせてくれて良かったです」
「羅葡ちゃん、ごめんね?僕ももっと考えれば良かったんだけど、羅葡ちゃんの頼みを聞かない訳には……」
独りっ子の代表例だ。
大事にされてる。
「ううん。未だ未だ自分が甘いって事が気付けたから良かったよ。ありがとう親父♪」
「そぅ言って貰えて良かったよ♪」
「光希君だっけかな?」
じいちゃんが口を開いた。初登場かって程、出てこない。
「はい。桜木光希と言います」
「うん。羅葡の事宜しくお願いします」
水澤家の礼儀正しい人。
婿養子なんだが、茶道の師範をしている。
顔良し頭良し性格良しの完璧な人が何故、ばぁちゃんに惚れたのかわからない。