枯れた心に愛を


「羅葡は余計な心配しなくて良いの。俺は毎日会いたいって思ってるから。羅葡も我が儘貯めないで言って?ねっ?」


「うん」


光希の“ねっ?”は有無を言わさない。必ず従ってしまう。
これが惚れた弱み?



家に着き、まだ夕食を摂ってない両親とじいちゃんとまさおと光希の6人で食べた。




「ガキンチョ、悪かったの?」


「いいえ、知らせてくれて良かったです」


「羅葡ちゃん、ごめんね?僕ももっと考えれば良かったんだけど、羅葡ちゃんの頼みを聞かない訳には……」


独りっ子の代表例だ。
大事にされてる。


「ううん。未だ未だ自分が甘いって事が気付けたから良かったよ。ありがとう親父♪」



「そぅ言って貰えて良かったよ♪」



「光希君だっけかな?」



じいちゃんが口を開いた。初登場かって程、出てこない。



「はい。桜木光希と言います」


「うん。羅葡の事宜しくお願いします」



水澤家の礼儀正しい人。
婿養子なんだが、茶道の師範をしている。
顔良し頭良し性格良しの完璧な人が何故、ばぁちゃんに惚れたのかわからない。





< 87 / 159 >

この作品をシェア

pagetop