粉雪
衝動的に、隼人はあたしを抱いた。
一瞬だけでも忘れるように。
抵抗出来ないように腕は捕らえられ、隼人はあたしを見ようともしない。
怖くて、気持ち悪くて、そして痛かった。
それは隼人じゃないみたいで。
隼人は、こんなに乱暴じゃない。
怖いなんて、思ったことない。
「…やだ…お願い…!」
だけど隼人は、あたしの口を塞ぐ。
こみ上げる涙は、愛しさなんかじゃなかった。
だけど隼人の苦しみが伝わってくるみたいで。
なのにあたしは、それを受け止め切れなかった。
戻れない道に居るあたし達は、ただお互いを求め合うしかなかった。
それくらい、もぉわかってるんだ…。
何でこんなに、悲しそうな顔をするんだろう…。
何で隼人は、こんなに苦しそうなんだろう…。
抱かれていると、隼人が言った言葉は本心じゃないように感じた。
だけど、隼人はこの世界でしか生きられないって分かってる。
ごめんね、隼人…。
あたしが苦しめて、ごめん…。
『…ごめんな、ちーちゃん…。』
背を向けるあたしに、隼人はそれだけ呟いた。
ただ何も言えなくて、唇を噛み締めた。
泣いてる顔なんて、見られたくなかった。
だけど乱れた衣服は、先ほどのことを思い起こさせて。
全てが現実なんだと教えてくれた。
あたしはただ、“隼人の女”で居続けたかっただけなんだ。
隼人だけは、失いたくなかった。
一瞬だけでも忘れるように。
抵抗出来ないように腕は捕らえられ、隼人はあたしを見ようともしない。
怖くて、気持ち悪くて、そして痛かった。
それは隼人じゃないみたいで。
隼人は、こんなに乱暴じゃない。
怖いなんて、思ったことない。
「…やだ…お願い…!」
だけど隼人は、あたしの口を塞ぐ。
こみ上げる涙は、愛しさなんかじゃなかった。
だけど隼人の苦しみが伝わってくるみたいで。
なのにあたしは、それを受け止め切れなかった。
戻れない道に居るあたし達は、ただお互いを求め合うしかなかった。
それくらい、もぉわかってるんだ…。
何でこんなに、悲しそうな顔をするんだろう…。
何で隼人は、こんなに苦しそうなんだろう…。
抱かれていると、隼人が言った言葉は本心じゃないように感じた。
だけど、隼人はこの世界でしか生きられないって分かってる。
ごめんね、隼人…。
あたしが苦しめて、ごめん…。
『…ごめんな、ちーちゃん…。』
背を向けるあたしに、隼人はそれだけ呟いた。
ただ何も言えなくて、唇を噛み締めた。
泣いてる顔なんて、見られたくなかった。
だけど乱れた衣服は、先ほどのことを思い起こさせて。
全てが現実なんだと教えてくれた。
あたしはただ、“隼人の女”で居続けたかっただけなんだ。
隼人だけは、失いたくなかった。