粉雪
『俺が買ったのは、元金の100でだ。
言ったろ?俺に金使うことはないって。』


「ダメだよ、隼人!!
これは、ビジネスの話だよ?!」



今している話は、連帯保証人と貸主との話だ。


だけど、隼人の考えは変わってはくれなくて。



『じゃあ、ちーちゃんは俺に100払ったことにすれば良いよ。
で、俺は“可愛い彼女”に100あげた。
これで良いでしょ?』


「―――ッ!」



あたしにそんな優しくして、どーすんの?


こんなんじゃ、何の解決にもならない。



「…それじゃ、何にも変わんないじゃん!!」


『ちーちゃん、言うこと聞いといて?』


「…でも…」



隼人の顔は、“本田賢治”の顔じゃなかった。



『…でも、これは今回だけの特別だよ。
次は、お母さんを追い込むから。
良いね?』


「…わかった。」


その顔に、何も言えなくなった。


そしてあたしは、口を開く。



「じゃあ、“工藤浩一郎”探しな?
多分、一緒に居るから。」


『―――ッ!』


あたしも覚悟を決め、隼人の目を見据えた。




『工藤…浩一郎…?』


名前を聞き、隼人は何かを考え込んだ。


瞬間、あたしの胸はザワつく。



『…多分、チンピラだな。
聞いたことあるよ。』


そして隼人は、顔を上げる。


『そいつ、女に金作らせてシノギにしてる。』


「―――ッ!」


瞬間、あたしは言葉を失った。


“シノギ”って…。



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