粉雪
『…ごめん。
俺がちーちゃん置いてったから、ちーちゃんが辛い思いしたんだもんな…。』


「違う!
悪いのは、全部あたしだよ!!」



…何で隼人は、それでもあたしに優しくしてくれるのかわからないよ…。


あたしなんて、何の価値もない女なのに…。



『…ちーちゃんは、ずっと今まで通りだよ?
一生俺の女で居てよ…。』


「―――ッ!」


流れ続ける涙は止められなくて、隼人の言葉に何度も頷いた。


それは、どんなプロポーズよりも嬉しかった。


隼人はあたしの過去も含めて、全て受け入れてくれたんだ。



『…ちーちゃん、愛してるよ…?
すげぇ愛してるから…。
俺の前で泣くな…。』


「―――ッ!」



それから隼人は、あたしを自分のものだと確認するみたいに抱いた。


隼人に愛されていると、その瞬間だけでも全てを忘れることが出来た。



「―――ァ!!
…もっ…ダメだよ…!」


奥深くを突かれ、体が仰け反る。



『…俺のことだけ考えてろよ…!』


「―――ッ!!」


後ろから突かれ、崩れ落ちたあたしに、隼人はピストンを早めた。





昔、隼人が言ってくれた、“自分の価値を下げるな”って言葉。


今も覚えてるよ?


あたしは今も、隼人だけ。


多分この先もずっと、それは変わらないと思う。


人からどんな風に思われようと、あたしは隼人と居て幸せだった。


隼人はあたしの前でだけは、優しく笑ってくれたから。


…こんな風になったのは、隼人の所為だね…。



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