粉雪
公園に着き、一緒に隅にあるベンチに座ると、香澄はゆっくりと口を開いた。
手に持っているコーヒーが、風に揺られ湯気を立てる。
『…あたし、好きな人が居たんだ。
でもソレ、友達の彼氏だったんだけど…。』
ふ~ん、“三角関係”ってやつか。
煙草を吹かし他人事のあたしに、
香澄はゆっくりと、思い出すように言葉を続けた。
『…ある日、その彼から誘われてね?
友達に内緒で、デートしたの。』
「やったじゃん!(笑)」
適当に、おどけて見せた。
だけど香澄の顔は、相変わらず暗いまま。
“まだ、続きがあるから”と言って、唇を噛み締めた。
『…そこで良い雰囲気になって…エッチ…したんだ…。』
「へ~、大胆♪」
お嬢様から“エッチ”なんて言葉が出て、あたしは笑った。
よくある三角関係なんて、あたしにとっては笑い話でしかない。
『…そしたら次の日、友達にバレたの。
“あたしの彼氏に手出したでしょ?!”って言われて、慰謝料請求されてるんだ…。』
「マジ?!」
その言葉を聞き、さすがのあたしも目を見開いた。
“慰謝料”だなんて、普通じゃない。
「…でも、自分がやったことでしょ?
言われても当然じゃない?」
『違うの!
あの二人は、最初からグルだった!!』
戸惑いがちに言うあたしに、だけど香澄は泣きそうな顔で縋ってきた。
状況が、まるでわからない。
「…どーゆーこと?」
煙草を投げ捨てあたしは、香澄の目を見据えた。
『…あたしの家にお金があるのも知ってて、友達になったみたいなの。
そして、あたしの彼に対する好意を知ってから、この計画を思いついたみたい。
全部、ハメられてたの!!』
「―――ッ!」
そんなのまるで、ドラマでしかない。
「…それ、考えすぎじゃない?」
だけど香澄は、首を横に振る。
『…謝ろうとして彼女のところに向かったら、二人で話してるの立ち聞きしたから。
間違いないよ…。』
そう言うと香澄は、悲壮感漂う顔をこちらに向けた。
手に持っているコーヒーが、風に揺られ湯気を立てる。
『…あたし、好きな人が居たんだ。
でもソレ、友達の彼氏だったんだけど…。』
ふ~ん、“三角関係”ってやつか。
煙草を吹かし他人事のあたしに、
香澄はゆっくりと、思い出すように言葉を続けた。
『…ある日、その彼から誘われてね?
友達に内緒で、デートしたの。』
「やったじゃん!(笑)」
適当に、おどけて見せた。
だけど香澄の顔は、相変わらず暗いまま。
“まだ、続きがあるから”と言って、唇を噛み締めた。
『…そこで良い雰囲気になって…エッチ…したんだ…。』
「へ~、大胆♪」
お嬢様から“エッチ”なんて言葉が出て、あたしは笑った。
よくある三角関係なんて、あたしにとっては笑い話でしかない。
『…そしたら次の日、友達にバレたの。
“あたしの彼氏に手出したでしょ?!”って言われて、慰謝料請求されてるんだ…。』
「マジ?!」
その言葉を聞き、さすがのあたしも目を見開いた。
“慰謝料”だなんて、普通じゃない。
「…でも、自分がやったことでしょ?
言われても当然じゃない?」
『違うの!
あの二人は、最初からグルだった!!』
戸惑いがちに言うあたしに、だけど香澄は泣きそうな顔で縋ってきた。
状況が、まるでわからない。
「…どーゆーこと?」
煙草を投げ捨てあたしは、香澄の目を見据えた。
『…あたしの家にお金があるのも知ってて、友達になったみたいなの。
そして、あたしの彼に対する好意を知ってから、この計画を思いついたみたい。
全部、ハメられてたの!!』
「―――ッ!」
そんなのまるで、ドラマでしかない。
「…それ、考えすぎじゃない?」
だけど香澄は、首を横に振る。
『…謝ろうとして彼女のところに向かったら、二人で話してるの立ち聞きしたから。
間違いないよ…。』
そう言うと香澄は、悲壮感漂う顔をこちらに向けた。