粉雪
『…最後に一つだけ、聞いて良い?』


ファミレスが近づき、香澄は戸惑いがちに口を開いた。



「何?」


『…あの二人、ホントはどーなるの?』


「…さぁね。
あたしは、詳しいことまでは知らないから。」


大体の予想はつくが、香澄なんかが知らない方が身の為だろう。


言葉を濁すあたしに、それ以上は香澄も聞いては来なかった。



『…そっか、わかった。
短い間だったけど、色々ありがとう!
マネージャーさんにも伝えといて?』


「うん、アンタも頑張って?」


到着し、車を降りて笑顔で手を振る香澄に、あたしも少しだけ笑顔を向けた。


もぉ、二度と会うこともないだろうと思っていたのに。


あたし達の運命を狂わせたのは、一体誰だろうね。


香澄はあの時、何を思い、こんなことを言ったんだろう?


今はもぉ、何も聞くことは出来ないね。


香澄と出会わなければ。


隼人を紹介しなければ。


違うか。


きっとあたしがあのファミレスで働いてたことが、全ての凶元だったんだろう。


もっと早く、気付けてれば良かったんだ。


今もずっと、後悔ばかりが支配してるよ。




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