粉雪
『すげぇな!(笑)
“掛け持ち”って何やってんの?』


「…何でそこまで言わなきゃいけないの?」



“バイトを掛け持ちしてる”と言えば、大体の人はあたしに驚く。


だから、こいつも一緒。


だけど根掘り葉掘り聞かれることが、一番嫌いだ。



『じゃあ、俺が“怪しい男”から昇格したら教えてな?(笑)』


「…一生しないだろうね。」



だって、もぉ会うこともないんだから。



『そんなこと言うなって!
水曜空けといてな?』


「…何で?」


『ドライブ付き合ってよ!』


「やだ。」



今度こそ、どこかにラチられる。


あたしだって、そこまで馬鹿じゃない。



『じゃあ、“今日のお礼”とかで付き合って?』


「―――ッ!」


それを盾にされると、あたしは何も言えなくなってしまった。



「…わかったよ。」


ため息をついて、部屋に置いてあった自分の煙草を咥えた。



『昼くらい、どお?』


「…午前中だけ学校あるし、それが終わってからだったら良いよ。」


火をつけて吸い込むと、自分の煙草が軽く感じた。


セブンスターの所為だ!


そんなことだけで、電話の相手に腹が立つ。



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