粉雪
だけど俯いたままのあたしに、隼人は首筋へとキスを落として。


その瞬間、目を見開いて顔を向けた。



「…ちょっ…!」



あたし達の向かいには、マツがいるのに…!



『…何?
何か問題ある?』


その瞳が、恐ろしいほどに冷たく見えて。


いつもと違う隼人に、恐怖心すら覚える。



「…やっ…!」


その場で押し倒され、隼人はあたしの中に手を忍ばせた。



「―――ァア!!
…イヤァ…!」


羞恥心で、涙が出そうになる。


なのに、体は正直だった。



『終わり~♪』


「―――ッ!」


突然手を止めた隼人は、あたしの上から降りた。


急いで肌蹴た胸元を隠し、涙目になりながら隼人を睨み付けた。



『…何だよ、残念そうな顔すんなよ。』


「違うよ!!」


その言葉に、唇を噛み締めた。


だけど隼人は、マツを睨み付けて。



『…マツよぉ、何見てんだよ?』


マツに向ける目は、あたしに向けられたものよりもずっと冷たかった。


マツは目線を泳がせながら下へと下げ、唇を噛み締めていた。



『…スンマセン…』


だけど隼人は、怒りさえも押し殺したような顔で言葉を続けた。



『…わかった?コイツは俺の女なんだよ。
何もかも、全部俺好みに仕上げた。
誰がてめぇなんかに見せるかよ!』


『…そんなんじゃ、ないっすから…』


吐き捨てるように言った隼人に、マツは言葉を押し殺した。



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