粉雪
「…別に、隼人は隼人でしょ?
たとえ隼人の親が、マザーテレサでも、ヒトラーだったとしても、あたしは何も変わらないよ。
まぁ、ルパンとかだったら、普通に嬉しいかもだけど!(笑)」



あたしの親だって、人に自慢できるような人間じゃない。


隼人はそれを含めてあたしを受け入れてくれてるから、

あたしは隼人がどんなものを背負っていようと、関係なく受け入れたいんだ。




『…ありがとな、ちーちゃん…。』


いつものように隼人は、あたしの言葉に安心したように笑っていて。


隼人が何も言わないなら、あたしも何も聞かないよ。


いつか教えてくれる日まで、ちゃんと待ってるから。



『…でも残念ながら、ルパンじゃねぇけど!(笑)』


「あははっ!それは残念だね。」



あたしがもっと、ちゃんと聞いてれば良かったね。


どんなことをしても、聞きだしてあげてれば良かったんだ。


隼人の過去を、

隼人の生きてきた道を…



それだけじゃない。


もっと、色々聞いてあげてれば良かったね。



いつも真実を聞かされるのは、一番最後。


隠すことが隼人の優しさだったとしたら、あたしにはそれが一番辛かったんだ。


隼人の苦しみを、少しでも分かち合いたかったのに。


今は、後悔ばかりが残るんだ。


もっとちゃんと、愛してあげれば良かった、って。




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